英検準1級の二次試験には、四コマ漫画を英語でナレーションする問題が出されます。配点が高いので失敗したくないところですが、対策が上手くいかない人は多いです。
わたしが30代後半で初めて英検準1級を受験したとき、四コマ問題を見て簡単そうだと思いました。
「書いてあるイラストを描写するだけ??そんなの楽勝!」
…でも、実際は違いました。
そのあと『ナレーションっていうのは、そう簡単なものじゃない』と知り、かなり苦戦しました…。
わたしのような苦戦をしないでいいように、この記事では、
・四コマ問題がどんな問題なのか
・ナレーションでの注意点や解答のポイントはどこか
・どのように対策すればいいのか
について解説しています。
先に結論をお伝えすると、
- 四コマ問題とは、漫画を見て英語でストーリーをナレーション(お話作り)をする問題。
- 出題される四コマのストーリーは、定番の流れが2種類ある。
- ストーリーを、物語り調(ナレーション)で話さないといけない。
- 注意点は、過去形しか使ってはいけないこと。
- 得点を稼ぐには各コマ2~3文ずつ話し、必ず四コマ目まで話しきること。
- ストーリーの展開を物語り調にするため、副詞を使う。
- 結局、四コマ問題は『スピーキングの総合力』を試される。過去問で対策し、可能なら英語の先生に自分のナレーションを見てもらうべし。
ということです。
この記事を読めば、『試験としての四コマ問題がどんなものか』『得点をとるにはどうすればいいのか』が分かるはずです。
四コマ問題が苦手な方は、ぜひ参考にして得点につなげてくださいね!
準1級の『四コマ問題』とは『絵を見て即興で英語の物語りを作る』もの
英検準1級の四コマ問題は、面接官から渡されるカードに描かれている四コマ問題を見て、即興でおはなしを組み立てて、英語で話すというものです。
※英検公式サイトに、『バーチャル二次試験』というアニメーションがあるので、面接官との詳細なやりとりの内容はその動画で見る方が分かりやすいです。
四コマ漫画が描かれたカードをもらう
面接が始まると、着席後、氏名や級の確認のやりとりが行われます。そのあと、短い会話をします。
全部英語でのやりとりです。
ここから採点されます。
最初に面接官から四コマ漫画が描かれたカードを渡されます。カードには、指示文と四コマ漫画が描かれています。
カードを渡されて、いきなりナレーションしろとは言われません。準備時間がもらえます。
1分の準備時間がもらえる
まず、1分間の準備時間がもらえます。この1分間で、確実にやっておきたいのは以下の3つです。
- カード内の下線が引かれている指示文(2か所)を読む。
状況と最初に音読する文を確認。 - 四コマを見てストーリーをつかむ。
各コマ上部の時間経過や場所の英文も読む。 - イラスト内の文字を確認する。
セリフ、看板、本、テレビなどに書いてある文字を確認。
この3つのポイントを確認すれば、最低限のナレーションの準備ができます。
1分しかないですが、十分です!大丈夫です!
2分以内でナレーションする
準備時間が終わったら、面接官の指示に従って、2分間でお話を組み立てながら英語で話していきます。
ただし、
必ず、問題カードの指示文にある『最初に音読する文』から言い始める
ことが大事です。
問題カードのサンプルが、英検公式サイトに載っています。(二次試験のサンプル問題参照)
まずは指定されている『言いだし部分の英文』を見ながら読み上げます。その続きは、自分で考えながらナレーションしていきます。
コマが次に進むときは、コマ上部の英文を音読してからイラストの内容をナレーションします。
- カードの指示文にある言いだし部分を音読
(その後)1コマ目のイラストを自作ナレーション - 2コマ目の上部の英文を音読
(その後)2コマ目のイラストを自作ナレーション - 3コマ目の上部の英文を音読
(その後)3コマ目のイラストを自作ナレーション - 4コマ目の上部の英文を音読
(その後)4コマ目のイラストを自作ナレーション
音読用の文が書いてあるので、初見でもストーリー展開がなんとなく分かるようになっています。
四コマをナレーションをするときのポイント
四コマのナレーションするときのポイントは5つです。
- 2分以内で全てのコマを説明し終える。
- ストーリーが自然につながるように組み立てる。
- コマ毎に副詞を使って表現を広げる。
- 過去形を使って、一コマ2~3文で話す。
- 正しい発音で止まらずに(無言にならず)スムーズに話す。
絵を見て『即興で英語のお話し作り』をするのが四コマ問題です。
何が描かれているかだけではなく、どんな話が描いてあるのかをナレーションします。話がムリなく順序よく進むストーリーを組み立てることが大切です。
英語力をアピールするためのポイント
ナレーションをするときに、英語力をアピールしましょう。
合格するためには、自分の英語力が十分だと評価されたいですよね。そのためには、あまりに簡単な英語ばかりでは高得点にはつながりません。
英語力をアピールするために、
- それなりの語彙力があること
- 使える文法の種類が多いこと
を、四コマのナレーションで表現できると得点アップが狙えます。
「あなたが登場人物なら…」という質問に答える
ナレーションが終わったら、次の問題が出されます。これも四コマ漫画を見て答える問題です。
「〇コマ目を見てください。あなたが登場人物の○○なら、どのように考えると思いますか?」
という質問が出されます。
- 「I’d be thinking~(私はこう考えるであろう)」ではじまる回答をする。
- すぐに解答する。
- 無言にならない。
- 3文話す。
普段英語を使う人でも、このポイントを押さえた解答をしないと得点が上がらないことがあります。
英語ネイティブや帰国子女が、英検に落ちた話をたまに聞きます。
これは『英検が得点にするポイント』とズレた答え方をしているため起こります。
準1級二次のスピーキング試験で見られているのは「英語をただなんとなく喋れるかどうか」ではなく、「得点になる英語が話せているか」です。
(そうしないと、判定が不公平になってしまう)
解答は、ポイントを押さえたものにしましょう。
出題される四コマのストーリー展開《定番の流れは2つ》
過去に出題された四コマのストーリーには、大きく分けて2つのパターンがあります。
この記事では、定番のストーリー展開2つを、試験と同じように四コマ漫画で表してみました。実際の準1級の試験より簡単なものですが、おおまかな流れはつかんでもらえると思います。
定番パターン1
一つ目は、何か問題が発生していることに主人公が気付き、主人公の働きによって一旦は改善、しかし別の問題が発生してしまうパターンです。
定番パターン2
もう一つは、主人公が何かに気付き(思いつき)、気付いたことを実行、一応の成功に見えるが、最後に実は「それは良くないこと」だったと判明するパターンです。
3コマ目が入れ替わったり、違う流れになったりすることもありますが、大体この2パターンに当てはまります。
定番は【4コマ目で、なにかが上手くいかない状況】になる
どちらのパターンでも、4コマ目ではトラブル発生・発見します。そして、ほぼ確実に4コマ目では、そのトラブルについて主人公が何かを考えているような描写になっています。
4コマ目で発生したトラブルは、解決案は一切出てきません。
主人公が対策を打とうとしているのか、それとも後悔しているのかも分かりません。
ちなみに、主人公の表情はどっちとも読み取れるような描き方になっています。
この記事内では、悩んでることが分かるイラストになっていますが、試験ではもっと微妙な、絶妙な表情をしています。
定番パターンは『きっかけ、行動、成功、トラブル』と覚える
四コマ問題の定番のストーリー展開は2つと紹介しました。でも「2つも対策するのは大変だ」という人は、下記の大雑把な流れだけ覚えておけばいいです。
①きっかけ → ②行動 → ③一応の成功 → ④トラブル発生・発見
ざっくりでもいいので定番のストーリー展開を知っておけば、試験本番で慌てなくてすむはずです。
四コマのストーリーは『物語り調』で。物語り調にするポイント5つ
準1級の四コマ問題は、英語で『ナレーション』するのが課題です。
そもそもナレーションって何?…と思った人いませんか?
一言でいうなら、物語り調で話すのがナレーションです。昔話とか絵本とかをイメージすると分かりやすいかもしれません。
- 「○○がいました。」
- 「○○をしました。」
- 「すると、○○になりました。」
日本語の絵本でよく使われる言い方です。英検二次の四コマナレーション問題も、同じように話せばOKです。ただし、同じように話すためには、いくつかのポイントを押さえないといけません。
ここでは、物語り調で話すために、ナレーション時のポイントをまとめました。
<ポイント①>過去形しか使ってはいけない
四コマナレーションの問題は、過去形を使います。
過去形を使う理由は、
- 『物語り』がすでに起こった過去の出来事として説明することが前提だから
- 出来事のつながりが分かりやすかったり、ストーリーの流れがはっきりするから
- 過去形を使いこなすことは、「英語の基本的な時制を理解している」と示せるから
- 英検が示しているサンプル解答が過去形で書かれているから
などがあります。
四コマのナレーションは、英文ライティングの型にある『ナラティブエッセイ』と同じ方法を使います。『ナラティブエッセイ』とは、出来事をストーリー仕立てで書くときに使われる型です。過去形を使うのが標準的です。
つまり英語ではストーリーを伝えるときは過去形にするのが標準なので、英検準1級の四コマ問題でも過去形を使うのがいいのです。
また、過去問のサンプル解答や英検が公式サイトに載せている例文を見ても過去形でしか書かれていません。公式に過去形で話すことが求められていると言えます。
過去形についての詳しい内容はこちらの記事もご覧ください。
<ポイント②>各コマ2~3文ずつ話す
4コマありますが、各コマ2~3文ずつ話します。ストーリーの展開を伝えるには、このくらいの文量がないと伝わらないからです。
文の数え方は、主語+動詞で1文と数えるのがおススメです。例えば、英検公式のサンプルにある下記の文は、2文と数えて良いです。
As she was walking from the station, a man in front of her was smoking.
『asでつながる1文』と数えるのが文法的には正確でしょうが、4コマ問題の対策的には2文と数えるとちょうど良い量になります。
- she was walking
- a man ~ was smoking
の2文です。
ちなみに、各コマの上部にある音読用の英文はカウントしません。自作したものを2~3文話しましょう。
<ポイント③>必ず4コマ目まで話しきること
準1級の4コマ問題は、かならず4コマ目まで話し切るようにしてください。
話し終わらないと得点が下がります。
四コマナレーション問題は、『絵を見て即興で英語のおはなしを作る』のが課題です。物語りは終わりまで話せて完成です。未完成では、評価が下がってしまいます。
また、ストーリーが時間内に完結しないということは、スピーキングの瞬発力がないと判断されます。
時間内に話せない人 = 英語がスムーズに話せない人
パッと英語が出てこないなら、準1級レベルには到達してないとみなされるのです。2コマ目や3コマ目に話すボリュームが少なくても、4コマ目には到達して話しきることを目標にしてください。
<ポイント④>4コマ目で「主人公は悩んでいる」と言わなくてもよい
4コマ目をナレーションするときは、主人公が悩んでいることを言わなくても良いです。(言っても良いですが。)
例えば、先ほど『定番の4コマ漫画のストーリー』としてを2つ紹介しましたが、
この4コマ目は、
- 「従業員は疲れ果ててしまい、働く気力をなくしているようでした。」
- 「思ったより費用がかさんだうえ、材料がたくさん余っていることに気付きました。」
のように、イラストに描いてあることだけを描写すれば大丈夫です。
ストーリー展開で必要なこと(イラストに描かれていること)が十分に言えてれば、「主人公はそれを見て考え込んでしまいました」と締めなくても良いです。
<ポイント⑤> ナレーションは副詞を使って物語り調に
4コマをナレーションするときは、副詞を上手く取り入れるのがおススメです。
ただ展開を伝えるのではなく、副詞を使えばストーリーを物語り調にすることができます。
- Unexpectedly 思いがけず
- Happily 幸せそうに
- Finally ついに、最終的に
- However ところが
- against his/her/their expectation 予想に反して
一番下は副詞ではないですが、このような語句を使った方が試験的にも良いです。
『おはなし』『物語り』の雰囲気が出て試験内容にあっているし、副詞を正確に使えるという英語力をアピールできます。
準1級の四コマ問題で評価されるのは『スピーキングの総合力』
四コマ問題は『英検準1級のスピーキング試験』
これまでご紹介した通り、四コマ問題とはカードに描かれた四コマ漫画を見て、そのストーリーを即興で英語で話す問題です。
受験者は、1分間の準備時間で指示文と四コマ漫画を見てストーリーを考え、2分以内で分かりやすくストーリーを伝えないといけません。
ひとつのストーリーとして話すのが、英検の4コマナレーション問題です。
評価のポイントは『スピーキングの総合力』
準1級の二次試験は、英語をなんとなく喋れるかどうかではなくて、英語を自分の言葉として使えるのかという部分です。
大前提として、発音やイントネーションの正確さはチェックされます。
使った単語やフレーズが言いたいことに合っているのか、そして簡単すぎる表現になっていないかもチェックされます。
逆に、多少間違ったとしても、伝わるように言えていれば合格することがあります。
日本語でも、間違っていても『大人ならではの言い回し』ってありますよね。
少し間違った英語で答えたことで、満点ではない合格になった人もいっぱいいます。
つまり『相手に正確に伝えられるスピーキング力がある』と(英検の基準で)評価されたら合格ということです。
合格のためには、
① 内容が伝わるくらいのボリュームを話すこと
② 相手に意味がしっかり伝えられるレベルの英語を話すこと
③ 即興でテンポよく英語が話せること
が必要となります。
ここまでをまとめると、英検準1級の二次試験では
量・レベル・スピードがそろった『スピーキングの総合力』が問われる
と言えます。
スピーキングの『態度点』
英検の二次試験には、態度点という項目があります。
この態度点は、
- 積極的に話しているか
- 話を止めないか(話すことをあきらめないか)
- 面接官の存在を無視するような態度で話していないか
問われています。
受験者にはわかりにくい態度点ですが、『言葉が出てこなくても言いかえて話したり、説明の仕方を変えたり、相手に伝えようとする姿勢ができたかという点での評価』と考えると分かりやすいです。
ちなみに、面接官との二次試験でも、S-CBTでも態度点は同じ評価基準となっています。
このことから、立つ座るというマナーで評価が変わることはなく、あくまで積極的に相手に伝えようとし続けているかが評価されることが分かります。
態度点のポイントは『面接官の存在を無視するような態度で話してないか』。
勝手に話すのをやめてそのまま諦めてしまうのも、極端にカジュアルな言い方をしてしまったりするのも、面接官へのリスペクトがない態度です。
上司や取引先、お客さんに話すのをやめる・あきらめる・極端にカジュアルに話すことはないですよね?それと、同じで、評価は良くないのは当然です。
ナレーション問題は『高配点』
四コマ問題は、二次試験の中でも配点が高いです。
なので、合格するためには四コマ問題の攻略が重要です。
下記は、二次試験の配点表です。
- 四コマナレーション 15点
- Q&A問題 各5点×4問
- アティチュード 3点
四コマ問題の配点がかなり大きいです。実際は、CSEスコアに換算してから合否判定されるので、四コマで高得点=合格と言い切れませんが、比重が大きいことは間違いありません。
CSEスコアとは、統計的手法で計算されるもの。
準1級のスピーキングは750点が満点。
過去の受験者の経験談からも、四コマ攻略が大きなカギになるのは間違いないです。
過去問で対策。可能なら『英語の先生に自分のナレーションを見てもらう』
基本的には、過去問を使えば対策は十分にできます。
方法はシンプルで、過去問に載っている4コマ漫画のサンプル解答を丸暗記するのです。4コマ漫画を見れば、サンプル解答の英文を見ないでも解答が言えるように練習します。音声もたくさん聞いて、そのままマネをします。
わたしも、この丸暗記法で対策しました。英検は、似たようなパターン・表現の問題が多いので暗記しておけば、初めてみた4コマ漫画でも応用して言えるようになります。
四コマ問題は合格のためには落とせない部分なので、事前に過去問で対策をしましょう!
わたしは、英検の二次試験を落としたくなかったので、事前にネイティブキャンプに加入して対策をしました。発音やイントネーションが心配だったことと、瞬発力をきたえたかったからです。
その時のことは、過去記事に詳しく書きましたので、ぜひご覧ください。
【まとめ】準1級の四コマナレーション問題を攻略して合格へ
英検準1級の二次試験には、4コマ漫画を使ったナレーション問題が出ます。
4コマ漫画を見て、即興で英語でストーリーをナレーション(お話作り)をしないといけません。
対策が必要ですが、内容を知ればそれほど難しいものではありません。渡されたカードに描かれたイラストと下線が引かれた英文を先に読み、2分間でナレーションをします。
出題される四コマのストーリーは、定番の流れが2種類あります。
ストーリーの大きな流れは、大きく分けて2つのパターンがあります。
- ①主人公がある問題に気付き、②改善するために行動し、③成功をおさめるが、④でも最後には新たな問題が発生するパターン
- ①主人公が何かに楽しそうなことに興味を持ち、②実際やってみると、③成功し喜ぶが、④実は悪い面があったと判明するパターン
4コマ目は、ほぼ確実に主人公が問題やトラブルに気付きますが、これはナレーションの次の問題の布石になっています。
ストーリーを、物語り調(ナレーション)で話さないといけません。
英検の4コマ問題は、ストーリをナレーションする問題なので、物語り調で話していきます。
ポイントは5つあります。
- 過去形しか使ってはいけない
- 各コマ2~3文ずつ話す
- からなず4コマ目まで話し終わる
- 4コマ目で「主人公は悩んでいる」という必要はなく、シーンの描写でよい
- ナレーションするときは、副詞を使って表現豊かにする
『物語り調』のイメージが湧かない人は、昔話や絵本を思い出してみてください。
四コマ問題の対策は、過去問があればできる。でも、英語の先生に自分のナレーションを見てもらうべし。
4コマ問題は、過去問をしっかり覚えれば対策が可能です。サンプル解答が口をついて出てくるくらい練習すれば、本番でも応用して話せるようになります。
ただ、発音やイントネーションが心配な人は、英語の先生に聞いたりオンライン英会話スクールの加入をおススメします。
四コマ問題を攻略して、合格へ
四コマ問題が苦手だったわたしでも、しっかり対策していくうちに、だんだんコツをつかんで、最後は余裕を持って合格することができました。
今回紹介したポイントを押さえて、四コマ問題の対策を進め、英検準1級二次試験の合格を勝ち取ってくださいね。
少しでも参考になれば嬉しいです。応援してます!
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