英検準一級の二次試験では、四コマ漫画のナレーション問題が出ます。ナレーション問題は配点が大きいので、しっかり対策をしておかないと合格は難しくなってしまいます。
この記事では、
・ナレーションで話す内容と、話し方のポイント
を、5つの項目に分けて解説します。
わたしは、英検準一級に一回で合格することができました。
試験対策をしているとき、四コマのナレーション問題が一番難しいと思ったので、過去問分析に時間をかけました。どんなことをどんな風に話せば合格につながるかをしっかり理解したことが、一発合格につながったと感じています。
過去問の分析だけではなく、英作文の型の一つであるナラティブについてもしっかり調べました。
では、何をナレーションするのか、何をどう言えば合格に近づくのか。このポイントを知りたいですよね。
結論を先に言うと、
この5つがポイントとなります。ただナレーションをするのではなく、意識的にストーリーを組み立てることが合格につながります。
この記事を読めば、『四コマ漫画の描写の仕方』と『ただの描写ではなくストーリー展開を考えてナレーションをしないといけない』ことを理解できるようになります。
ぜひ最後まで読んで、ナレーションのコツをつかんでください。!
準一級のナレーション<話すこと3つ>と<話し方のポイント2つ>
まず先に、英検準1級の四コマナレーションをする際に “必ず話すこと3つと話し方のポイント2つ” をざっくり紹介していきます。
まずは、5つのポイントを把握してほしいと思います。(あとから各ポイントの詳しい説明をしていきます。)
大まかに知っていただくだけでOKです。
【話すこと・内容】1 行動や出来事を描写
各コマの中で起こる登場人物の行動や出来事を説明します。
→何が起こっているのか、誰が何をしているのかを具体的に述べます。
【話すこと・内容】2 感情や反応を描写
登場人物の感情や反応について説明します。
→例えば、喜んでいる、驚いている、困っているなどの感情や、起こった出来事にどんな反応を示したかを描写することでナレーションらしさを出します。
【話すこと・内容】3 シチュエーションを描写
各コマに描かれているシチュエーション、つまり具体的な状況を説明します。
→登場人物がどこで、どんな時に、どんな格好で、どんなことをしているか、また、どんな背景や風景も描写します。
【話し方・話の展開の仕方】1 時系列で話す
ストーリーを、時系列にそって順序よく話します。
→ひとコマの中で、描かれているイラストを単に読みあげていくのではなく、時間的な前後関係が分かるように話します。
【話し方・話の展開の仕方】2 ストーリーをつながりで話す
各コマのストーリーがしっかりつながるように話します。
→例えば、「次に〜」「その後〜」「最後に〜」といったフレーズを使って、ストーリーが連続していることを示します。
ざっくりとした説明になりますが、
話し方1は、「ひとコマの中で、描写するポイントを時系列で話す」
話し方2は、「コマ同士のつながりを考える」
という違いがあります。
【準一級四コマ 話すこと1】『行動や出来事を描写する』
英検準1級の四コマナレーションの基本は、登場人物の行動や出来事を描写することです。
ナレーション(英作文でいうところのナラティブエッセイ)らしさを出すために、注意するポイントがあります。
【行動と出来事の描写 1】行動を具体的に話す
登場人物が何をしているのかを、具体的に話します。
単に「走っている」ではなく、
「どこへ走っているのか」「なぜ走っているのか」「どんな風に走っているのか」
など、詳細に描写します。
【行動と出来事の描写 2】出来事の順序通りに話す
物語が進行する順序を考えて、行動や出来事を話します。
スピーキングの四コマの問題は、何が描いてあるかではなく、どんなストーリーが描かれているかを答える問題です。
ただただ登場人物の行動や出来事を羅列するのではなくて、順序を考えて話す方がナレーションらしくなります。
下記の例文は、1はナレーションらしく行動がつながっているが、2は羅列しているだけ。
- 男性は朝食を食べていた。その男性が窓を見た。彼は雨が降っていることに気が付いた。(←男性の行動の順で話している。)
- 雨が降っていた。男性が朝食を食べていた。彼は窓を見た。(←描いてある内容をただ言っただけ。)
四コマ全体でも、ひとコマの中でも順番を考えて話すクセをつけておくと、どんな問題が出ても応用ができるようになるので、ナレーションしやすくなってきますよ。
【行動と出来事の描写 3】関連づけて話す
『なぜその行動が起こったのか』とか『結果として何が起こったのか』を話します。
『理由があって、行動や出来事が起こった』という順序や流れで話をします。
さっき話した『順序通りに話す』とつながってくるのですが、理由があっての行動だったという文を作って話す方がナレーションらしくなります。
(例)①周囲にゴミが落ちていることに気付いた。②落ちているゴミを拾うために立ち上がった。③それに気づいた周囲の人もゴミ拾いを始めた。
わたしは、試験中に軽くパニックになってしまって話すことが分からなくなった時に「○○したから××した」という言い方を思い出しました。
実際は、「彼女は××しました。それは○○だったからです。」という風に、今回の例とは逆の言い方になってしまいました。でも、おかげでナレーションが止まらなかったので結果オーライです。
【行動と出来事の描写 4】感情や反応を話す
行動や出来事に対する、登場人物の感情や反応をナレーションします。
感情や反応をそのままナレーションする方法もありますが、行動の一つとしてナレーションすることもできます。
(例)「話を聞いて、彼は喜んだ。」⇔「話を聞いて、彼は笑顔を見せた。」
【準一級四コマ 話すこと2】感情や反応を描写する<注意点とフレーズ>
ナレーションするには登場人物の行動や出来事だけでなく、感情や反応についても描写することがあります。
例えば、喜んでいる、驚いている、困っているなど、登場人物の感情を描写することで『ただのイラストの解説』から『ストーリーがあるイラスト』になります。
※実際の試験では、感情や反応を描写するポイントは多くはないです。でも、ナレーションするうえでは必須なので、イラストから気持ちを読み取って、スムーズに言えるように練習してみてください。
感情や反応をナレーションするときの注意点
登場人物の感情や反応を描写する時は、そのまま表現するよりも具体的な行動や表情で描写するのがおススメです。
(例)【感情や反応】がっかりした、興味を示した、など。【行動】笑顔で頷いた、など。
登場人物の行動をナレーションした方が伝わりやすいですし、一文が長くなるので二次試験にも向いています。
とは言え、感情や反応をそのまま言ってももちろん大丈夫です。
他にも「幸せそうに○○した」「不安そうに○○した」のような、副詞を使うことにも慣れておくと、二次試験で表現力があることをアピールできるのではないでしょうか?
感情と反応の違い
感情や反応を描写するフレーズや単語
悩む・考える など
感情の単語 | 感情を表現するフレーズ |
---|---|
不安になる (Worried) | He felt worried. |
悩む(distress) | He was distressed. |
混乱 (Confused) | He was confused. |
反応 (Reaction) | 反応を表現するフレーズ |
---|---|
眉をひそめる (Frown) | He frowned in worry. |
頭をかかえる (Hold his head) | He held his head in his hands, deep in thought. |
首をかしげる (Tilt his head) | He tilted his head in confusion. |
【例文】Seeing the river filled with trash, he furrowed his brow and stroked his chin, pondering what they could do to clean it up.
この文では、彼が川のゴミを見て「悩んでいる」ことが表現されています。具体的な反応として「眉をひそめ、あごを撫でる」動作が描写されています。
満足しているなど
感情 (Emotion) | 感情を表現するフレーズ |
---|---|
満足 (Satisfied) | She felt satisfied. |
喜び (Pleased) | He felt pleased. |
幸福 (Content) | They felt content. |
反応 (Reaction) | 反応を表現するフレーズ |
---|---|
ほほ笑む (Smile) | She smiled with satisfaction. |
うなずく (Nod) | He nodded approvingly. |
【例】After the park was cleaned, she smiled broadly and nodded in approval, feeling a deep sense of satisfaction.
この文では、彼女が「満足している」ことが表現されています。具体的な反応として「広く笑い(=満面の笑み)、うなずく」動作が描写されています。
【準一級四コマ 話すこと 3】シチュエーションを描写する<ポイント5つ>
【シチュエーションの描写 1】場所と時間を明らかにする
各コマに描かれているシチュエーション、つまり具体的な状況を説明します。
【場所】 どこで起こっているかを話します。(例:公園、教室、家の中など)
【時間】いつの出来事かを話します。(例:朝、昼、夜、週末など)
問題文やイラスト内に、最初から英文で示されていることもあります。
【シチュエーションの描写 2】登場人物を特定できるように話す
登場人物を分かりやすくするための特徴を話します。
【人物】 誰の話をしているかを明確にする特徴を話します。名前がない場合でも、「男性」「女性」「子供」「カップル(夫婦)」などと具体的に言います。
【特徴】必要であれば登場人物の特徴も話します。(例:若い男性、老人、スーツを着た女性など)
【シチュエーションの描写 3】背景と環境、状況を話す
各コマに描かれている背景、環境や状況を話します。
【背景】 周囲の環境や背景に関する情報を話します。(例:部屋のテレビでは天気予報が流れていた、家のそばには小さな川が流れていた など)
【状況】 現在の状況や雰囲気についても話します。(例:混んでいる通り、静かな部屋 など)
【シチュエーションの描写 4】登場人物の行動や出来事を話す
登場人物が何をしているシーンか、何が起こっているシーンなのかを話します。
【行動】 登場人物が何をしているシーンなのかを具体的に話します。(例:夫婦がパソコンを見ていた、女性が犬を散歩に連れて行こうと準備をしていた など)
【出来事】何が起こっているのか、どのような出来事が進行中なのかを話します。(例:突然の電話が鳴った、ミーティングには3人が参加していた など)
【シチュエーションの描写 5】視覚的に分かる情報を話す
イラストを見てない人(英検の場合には面接官)にもビジュアル的に分かるように話します。
【セリフや看板】四コマの中に描かれている文字を読み上げます。(例:その部屋の壁には誕生日おめでとうと書かれていた、マネージャーは女性にもっと売り上げを伸ばすように言った など)
【表情】登場人物の表情から分かる気持ちを解説します。(例:満足そうだった、興味がある様子だった など)
セリフや看板、表情も、シチュエーションの一部として使えます。
せっかく英文が書いてあるので、しっかり読み上げてちょっとでもラクしましょう!
シチュエーションの説明は、5つのポイントを “簡潔に” 話すこと
シチュエーションばかり話さない方がいいです。
シチュエーションの説明は、必要な情報だけを簡潔に話して、あまり詳細にこだわりすぎないようにします。細かく描写してしまうと、文章量が増えて時間内に収まらなくなります。
【準一級四コマ 話し方1】時系列でナレーションする<ポイント5つ>
ここからは、スピーキングの内容ではなくて、話し方のポイントを紹介します。
4コマのナレーションは、一コマ目から時系列に沿ってストーリーが進みますが、ひとコマの中でも時間的な関係が伝わるような話し方をすると、スムーズなナレーションが出来上がります。
【時系列で話す 1】一コマの中でも、時間の関係を考えて話す
出来事が同時に起こったのか、時間的に前後があるのかをしっかり話します。
【同時】○○しているときに、○○したという話し方をします。(例:会社に歩いて向かっていた。そのとき、前を歩いている人のたばこの火がジャケットに当たった など)
【前後】○○したあと、○○した(○○だった)という話し方をします。(例:社長は応募者の履歴書を見た。来週から来てほしいといった。)
【時系列で話す 2】一コマの中だけでなく、四コマを通してつながるように話す
4コマ全体をとおして、因果関係が分かるように話す。
全体で物語として完成させるために、文同士のつながりだけではなく、コマ同士のつながりを考えます。「○○だから、○○をした」という因果関係がつながるように考えて、なるべく各コマが自然に次のコマにつながるように話をします。
【時系列で話す 3】つなぎ言葉を使って、前後を明らかにして話す
ストーリーの前後関係を、つなぎ言葉を使って話します。
ストーリーがどのようにつながっているのかを分かりやすくするためのつなぎ言葉を使います。(then, after that, next, suddenly)
【時系列で話す 4】過去形・過去進行形・過去完了形だけで話す
四コマのナレーションは全て過去形で話します。
四コマのナレーションは、全て過去形で話します。
基本的には、過去形と過去進行形だけでナレーションをします。
過去問のサンプル解答も、基本的に過去形・過去進行形だけで書かれています。
なので、話す順番をちゃんと時系列にしておかないと、前後関係が分かりにくくなってしまいます。
一文の中での前後関係を話す時は過去完了形と過去形で時間差をつけたり、つなぎ言葉を使ったりして時間を表現します。
【時系列で話す 5】登場人物の感情や反応の、元になっていることを話す
登場人物の感情や反応を話すときに、元になった出来事も話します。
感情や反応は、先になにか出来事があってのリアクションです。気持ちを表現する時は、原因になっていることを話すとナレーションしやすくなります。
(例)息子の発言を聞いて、母親は嬉しくなった。
【準一級四コマ 話し方2】ストーリーをつながりで話す<4つのポイントとフレーズ>
時系列に話すだけではなく、各コマのストーリーがしっかりつながるように話します。
【つながりで話す 1 】コマ同士をつなぎ言葉でつなぐことを意識した話す
次のコマに進むときに、つなぎ言葉を使ってコマ同士のつながりをしっかり話します。
つなぎ言葉は、andやthenのようなものを使ったり、4コマイラスト上部に書かれている英文を使ったりして、コマ同士がどのようにつながっているのかを話します。
【つながりで話す 2】因果関係を話す
行動と結果の関係を示すことで、ストーリーの流れを明確にしながら話します。
(例)主人公が署名を集めた。→(コマが進む)→おかげで、喫煙所が設置された。
【つながりで話す 3】対比をつかって話す
最初と後半の対照的な状況を話すことで、ストーリーが進んだことを示します。
(例)客のいないのレストラン→(コマが進む)→にぎわっているレストラン
【つながりで話す 4】場面が変わったことを話す
別の場所や時間に変わったことを話して、起承転結のようにひと続きのストーリーが場面転換したことを示します。
(例)展覧会に行った→(コマが進む)→その帰りの電車でスマホがないことに気付いた。
つながりを示すような単語やフレーズ例
ストーリーの流れを示すためにに「次に〜」「その後〜」「最後に〜」といったフレーズを使います。
各コマがどのように連続しているかを話すことで、聞き手が分かりやすいナレーションになります。
英語の単語やフレーズ | 日本語の意味 |
First / Firstly | 最初に |
Next | 次に |
Then | それから |
After that | その後 |
Later | 後で |
Meanwhile | その間 |
Finally | 最後に |
At the same time | 同時に |
In the meantime | その間に |
As a result | その結果 |
Therefore | したがって |
Consequently | その結果として |
Eventually | 最終的に |
Immediately | すぐに |
While | 〜の間に |
Before | 〜の前に |
After | 〜の後に |
Because | なぜなら |
Since | 〜なので |
In addition | 加えて |
Moreover | さらに |
Besides | その上 |
As soon as | 〜するとすぐに |
Q&A 時系列に話すことと、ストーリーのつながりを話すことの違いは?
時系列話すということは、ストーリーを時間の流れに沿って順番に説明することです。
ストーリーのつながりを示すというのは、ストーリー全体の流れを明確にすることです。
時系列に沿ったストーリー展開
【1コマ目】朝、公園で男の子がボールを蹴っている。
【2コマ目】そのボールが池に落ちてしまう。
【3コマ目】男の子がその池のそばに駆け寄り、どうしようか考えている。
【4コマ目】その男の子の父親が現れ、ボールを池から拾い上げて渡す。
ストーリーの繋がりを示す
【1コマ目】公園で男の子がボールを蹴って遊んでいます。
【2コマ目】するとボールが池に落ちてしまいます。
【3コマ目】その後、男の子が池のそばに駆け寄り、どうしようかと考えています。
【4コマ目】すぐに、男の子の父親が現れ、池からボールを拾い上げて男の子に渡します。
【まとめ】準一級の四コマナレーションでつまづいたら<話すこと3つ>と<話し方のポイント2つ>を思い出そう
準一級の4コマ問題で必ず話すポイントは5つあります。
- 行動や出来事を描写
- 感情や反応を描写
- シチュエーションを描写
- 時系列で話す
- ストーリーのつながりで話す
1の登場人物の行動や出来事をナレーションするときのポイントは、以下の通りです。
なるべく具体的に話す(例 走る→どこへ走るか)、出来事の順序通りに話す(例 外を見た、雨に気付いた)、前後を関連付けて話す(例 落ちているゴミに気付いたので、すぐ拾った)、感情や反応を話す(例 嬉しかった→笑顔になった)
2の感情や反応を描写するときに使えるフレーズや単語は、以下のものがあります。
不安になる (Worried)、悩む(distress)、眉をひそめる (Frown)、ほほ笑む (Smile)、うなずく (Nod)など
3のシチュエーションの説明は、以下のことを話します。
時間、場所、どんな人物か特定できる特徴、背景や環境、何をしているところか(何が起きている状況か)、視覚的に分かる情報
4の時系列に沿ってナレーションするポイントは以下の5つです。
時間の関係を考えて話す、四コマを通してつながるように話す、つなぎ言葉を使って前後関係が分かるようにする、過去形・過去進行形だけで話す、感情や反応の元の出来事を話す
5のストーリーのつながりを示すときのポイントは以下の4つです。
コマ同士をつなぎ言葉でつなぐ、コマ同士の因果関係を話す、対比を使って話す、場面が変わったことを話す
他にも、つながりを示すフレーズや単語を使わなくても、以下のようなテクニックでコマ毎のつながりを表現できます。
登場人物の動きや視線の順で話す(例 彼が窓を見た。外は雨だと分かった)、因果関係を示す(例 傘を忘れたから、ずぶ濡れになった)、対比をつかう(夫は元気だった一方、妻は寝込んでいた)、場面転換をする(家に帰ると、母がご飯を作っていた)
時系列で話すことと、ストーリーのつながりを示すことは、少し違います。
- 主人公の行動や出来事を時間の流れに沿って順番に説明する
- 各コマがどのように連続しているかを示すつなぎ言葉やフレーズを使い、ストーリーの流れを明確にする
自分では描写できているつもりでも、単に書いてあるものの説明にとどまってしまってひと続きのストーリーになっていない場合、ナレーションとして上手とは言えません。
童話のような「お話し」を作るつもりで、何度も自分でストーリーを作ってみたり、過去問を分析してみてください。
回数を重ねるにつれて、だんだん英検のナレーションというものが分かってくると思います。
少しでも参考になれば嬉しいです。応援してます!
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