【体験談】英検準1級の四コマ問題で“絵の説明”だと勘違いしていた話

絵に描かれてるものを羅列すればいいと思っていた
大人になって初めて受けた英検が準1級だった。2級にも3コマ漫画のナレーション問題が出題されるそうなのだが、私は2級を受けたことがなかったので、こういった形式の漫画描写問題があること自体を知らなかった。
初めての過去問の2次試験に取り組んだ時、これは単に「4コマのイラストを描写する問題」なのだと勘違いした。そして思ったより簡単だと感じ、「簡単に合格できるかもしれない!」などと思いあがった。
具体的には「1コマ目には会話をしている夫婦、2コマ目には畑で作業している夫婦が描かれている」といった具合に、見たままを説明すればいいのだと考えたのだ。
何が求められているのかわからなかったので、とにかくイラストに書かれているものを言葉にすればいいのだと思っていた。
私がした一番ひどい描写(?)は、「イラストの真ん中に人がいる。」だ。
続けて「1つ目のコマの真ん中に人がいて、右には時計が描かれている。コマの下は全体的にグレーで…」と言ったように、本当に見たままを描写してしまった。
この時点では、TOEIC のリスニング パート1(写真描写問題)のように、目に見えるものを説明すればいいのだと完全に思い込んでいたので、こんな解答をするしかなかった。
そのため、何の脈絡もなく、ただ目に見えるものをつらつらと4コマ分描写し続けていた。

見えているものを、なんでも言えばいいのかと思っていました。
すでに過去問を解いたことがある方はご存知だと思うが、この四コマ問題で求められているのは単なる「イラストの説明」ではない。もっとストーリー性が必要なのだ。
そんなことに気づかないまま、初めて解いた過去問では、以下のような短文をつらつらと言い続けました。(※実際の過去問を載せてはいけないらしいので、こんな感じだったという文を載せることにします。)
という具合。
そして、録音しておいた自分の解答をサンプル解答と照らし合わせて愕然とした。
そこで初めて、「4コマ漫画のナレーションは単なる説明ではなく、ストーリーを語るものなのか!」と気づいた。そして同時に、「初見の漫画でストーリーを想像しながら話すなんて、無理じゃない?」とも思った。
しかも、求められている過去形ではなく現在形で話していたため、内容だけでなく時制の点でも、完全に見当違いな回答になってしまっていた。
どうやって解答を組み立てていいのかまったく分からず、頭の中はパニックだった。ただ一つ分かったのは、「このままでは絶対に合格できない」ということだった。
実はストーリー展開を話すことが求められていた
この違いは英作文で言うところの「説明文(description)」と「物語文(narration)」の違いに似ている。
- description(描写・説明)…聞き手がイラストを見ていなくても、何が描かれているかを具体的に想像できるように説明すること。
- narration(物語・ナレーション)…時間の経過とともに状況がどう変化したか、登場人物や物の関係性や一連の出来事を、物語として伝えること。
私が行っていたのは説明にあたる「ディスクリプション」であり、英検準1級で求められていたのは物語を語る「ナレーション」だったのだ。
この時点での私には、何が描かれているのかを伝えることはできても、出来事を一連の流れとして語る力がなかった。とくに、何が変わったのか(=何が起こって、その結果どうなったのか)を話すのが本当に苦手だった。
「このままでは合格は程遠い。どうにか対策を練らなければ合格はない!」と痛感し、ここから必死にナレーションのトレーニングに取り組むことにしたのだ。
英検準1級に合格するまでにやった2つの対策

ナレーションは、一朝一夕でできるようになるものではない。すぐに上達したい気持ちは山々でも、やっぱり簡単ではない。
【1】模範解答を暗記してストーリーの型を学んだ
そこでまずは、ナレーションの形式に慣れるため、過去問の四コマ漫画についているサンプル解答を暗記し、イラストだけを見てスラスラ言えるように練習した。これを、過去問に掲載されているすべての四コマ問題で行った。
要は、四コマ漫画を見ればサンプル解答が自然と口から出てくる状態にした、ということだ。
この練習を繰り返すうちに、イラストのどこに注目すべきかのポイントが掴めるようになってきた。例えば、登場人物の表情から感情を読み取ってナレーションに加える、といったことができるようになったのだ。

だんだん、「ここは描写すべきポイントだな」と分かってきます。
また、コマ間の時間的なつながりや流れを示すために、意識して副詞を使うようにもした。(コマ毎に指定されている文以外でも、なるべく副詞を使えるようにした。)
時間経過や場面転換を示す副詞(Then、After that、Suddenlyなど)を使うことで、コマ同士のつながりやストーリーの流れがスムーズになるからだ。
【2】最高レベルの自作解答を繰り返し音読
次に、過去問のサンプル解答を覚えたあとで、同じ四コマ漫画を使い、今度は自分自身の言葉で解答を作成し、それを何度も推敲・改善していく作業を行った。
まずは自分の言葉でナレーションを録音し、それを文字に起こす。次に、その内容を加筆修正して、自分が「本当はこう言いたかった」と思えるような、より良いナレーション原稿を作り上げ、それを繰り返し音読するのだ。
つまり、2段階の練習をしたわけです。
- 段階1 …サンプル解答を暗記し、四コマを見ただけで暗唱できるレベルにする。
- 段階2 …同じ四コマ漫四を使い、今度は自分自身の言葉で解答。その音声を録音・文字起こしし、内容を推敲・加筆修正。こうして作り上げた「自分史上最高の解答」を、ひたすら音読する。
こういった作業をくり返していくうちに、着実にナレーションのレベルが上がっていくのを実感できるようになっていった。
そして、最終的には無事に準1級の二次試験に合格することができたのだった。

しかも、日常会話でも以前よりスムーズに伝えられるようになりました。
練習で副産物が!英会話力が全体的に向上

四コマ練習は英会話の土台にもなる
この四コマ問題は、単なる試験対策に留まらず、実際のコミュニケーション能力を測るものだ。
受験者にとっては「実際に使えるスピーキング力」を備えているかを問われることになるのだが、同時に、この練習を重ねることで、自然と英会話力も向上していく仕組みなのだ。
実生活では、自分が経験したことや思い出などをストーリーとして話すことがあると思う。
- 「先週、公園を歩いていたら転んじゃって、近くの人に助けてもらったんだ。」
- 「学校で忘れ物に気付いて、親に電話して持ってきてもらえないか頼んだけど、断られちゃった。」

家族や友人と話すような、ごく自然な内容ですね。
4コマ漫画を見て、そのストーリー展開を口頭で説明することは、日常会話でこうした“とある出来事”を話すプロセスと非常によく似ている。
そこでは、自然と次のような要素を説明しているはずだ。
四コマ問題の解答練習は、まさにこのような具体的な状況(シチュエーション)を、ストーリーとして相手に分かりやすく伝える力を鍛えるトレーニングになっていたのだ。
つまり、価値ある練習になっていると言える。
たまに「英検を受けたって、話せないし意味ないじゃん」などと言う人がいるが、個人的にはちゃんと練習して合格した人は、英会話力が伸びているはずだと伝えたい。

私の体験としては、この練習のおかげで、英語での会話が以前よりずっとスムーズになりました。
【まとめ】“絵の説明”から脱却して合格!四コマ問題は練習で必ず伸びる

最初は、四コマ問題を「紙に描いてあることをただ言うだけ」という盛大な勘違いをしていたのだが、なんやかんか練習をしていった結果、英検準1級に、みごと一発合格することができた。
実は、途中で「ナレーションってそもそも何?」という疑問を持ってしまい、それを解消するために、英作文の4つのエッセイの型のひとつである「ナラティブエッセイ」というものを図書館で調べたり、「ナレーションとは!」を知るために専門家のブログなどをのぞいたりして、そこそこ遠回りして合格にたどり着いています。
だいぶ深堀りしたせいで、わたしの場合は合格レベルに達するまでに意外と時間がかかっています。
そんなことせずに、素直にサンプル解答を覚えたり、過去問分析したりするだけで合格できると思うので、これから英検準1級の二次試験を受ける方は「シンプルに勉強した方が良い」とアドバイスしたい。

忙しくて時間がないのに、変なとこに首を突っ込むと、時間がもったいないです。(経験談)
余談ですが、英語の先生とか英語ネイティブの人に、自分が作った解答を見てもらったり、読んだ音声を聞いて改善点を指摘してもらうのは、めちゃくちゃ上達が早いです。
忙しい人こそ、誰かを頼るべき。
わたしの場合は、学校の先生に聞くことはできないから、ネイティブキャンプを使いました。予約がいらない方が、時間がないときは便利。(忙しいと予定なんて立てられない。)
英検準1級を受験する皆さん、頑張ってください!
忙しくても、わたしのように盛大に勘違いしているところからトレーニングした人でも、ちゃんと合格できます。応援しています。
ネイティブキャンプ

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